ジャービル讃歌(100%)

癒しの”天使のネズミ”、ジャービル(スナネズミ、ねじぃ)の観察記を下手な詩とエッセーで。

カムリン逝く

ノブリンより後に発症したのに

先に逝くことになったカムリン

大分前から衰弱が始まっていた

健気に飛び跳ねホイールランも


10月3日の朝カムリンは横になって亡くなっていた。すでに前夜から激しい息使いだった。うずくまり激しい息使いを見て、朝を迎えることはできまいと思われた。そんなときには下手に手を出さないほうが良いと思い、そのままケージの蓋を閉じた。


すでに数ヶ月前から多臓器が崩壊していることが伺えた。その影響が強く現れていたのは、消化器系。膵臓がやられているのか蛋白質や脂質を多く含む食べ物を受け付けなくなっていた。ジャービルは麻の実が大好き。そしてヒマタネも。数ヶ月前からそれらの大好物に関心を示さなくなっていた。そして体重減少。弟分のノブリンよりも30gも軽かった。ノブリンがデブすぎだったけど。それを差し引いても普通より10gほど軽かった。


骨と皮ばかりになっても健気に走り回り、飛び跳ねホイールランをやっていた。あまりにも痩せていたのでさつまいもを蒸しておやつとして与えていた。また、彼にとっては幸か不幸か懐かしいペレットに巡り会えたことか。目の前でペレットをかじる姿を初めてみた。


それはペットショップで食べていたものだった。たまたまペレットがなくなり馴染みの店で買っていたのだがそのショップが引っ越し買えなくなっていた。それでストックしていたペレットを与えた。また、さつまいもはカムリンが口の中に吹き出物ができてペレットを食べることができなかったときに彼の命をつないだ食べ物。


カムリンの毛はこんなに長かったのかと思われるほど、彼の体は骨と皮ばかりだった。ジャービルの死に顔は生きているときの寝顔そのまま。穏やかな顔で亡くなるときの苦しみを感じさせない。少しは飼い主は救われる気がする。生きている間最大限に大事にしていてもやはり他にもなにかできたのではないかという思いは強いだけに。


カムリンは2019年1月の生まれ。だから2歳9ヶ月生きたことになる。しかし、生まれつきの体質は飼育を始めてすぐに出た。先に買ってきた女の子と同じ腎臓の障害。今、ブリーダーに飼育者の立場からこの個体は病的体質を持つので掛け合わせを変えてということができない。我が家ではだからメスに妊娠させなかった。腎臓疾患はあらゆる臓器を次々に破壊するし、短命。そして腎臓疾患は強く遺伝するから。


亡くなる前のカムリンをnanoによく噛み付いてきた。掌を差し出すと指先に、掌に載ると親指の根元の柔らかい部分に噛み付いてきた。血が出る寸前の痛さだった。でも、彼らにとっては毛づくろいをしてやっているつもり。それだけ彼らの毛づくろいは痛い。


カムリンとノブリンのオセロBSはよく眠る兄弟だった。目の前で眠り始めるし、ケージの蓋を開けてもまだ眠っていた。更に、寝顔をさすってやってもまだ寝覚めなかったし、起き上がっても寝ぼけがなかなか取れなかった。オセロBSというより爆睡BSだった。今は爆睡ノブリンだけになったが。


この記事もやはり府中から。衰弱しているカムリンを連れていけば死期を早めるので引っ越しを延期している。

不死身のカムリン

脳障害を起こしたり


口内に大きな腫れ物


耳たぶが化膿したり


玉袋からの大量出血


カムリンの身に起きた死にかけた主な障害。主なものだけでこれだけだがそれ以外にも彼は意外性に満ちた存在だ。一言でいうと「ニュースな存在」。第一毛色がそうだ。白いジャービルということで黒いノブリンと一緒に買ってきたがそのうちに段々とライラックに、そうかと思うと腰から下はワイルドカラーに。それだけかと見ていたら次々に変化。彼の変わらない毛色は腹毛だけ。それはオレンジがかった腹毛。また、目の色も。長く彼の目の色は黒だと思っていたが、写真撮影の赤目現象ではなく実際に赤目だということも判明。あまりにも赤が濃いすぎるので見た目が黒に見える。でも、光をかざしてみるとやはり濃い赤だった。


で、本日の話題。本当に死ぬかも、いや殺してしまうかもという肝を冷やした話。カムリンは男の子でしかもボス格。ボスは縄張りにしきりに匂いつけをして回るらしい。お腹の真ん中あたりに毛が生えていない部分があるがそこは臭腺。触るとじっとりベタベタ気味。そこを辺り構わずこすりつけまわる。ボス格ではない弟分のノブリンは匂い付けをしているところを見たことはないのでやはりボスの特権なのだろう。ついでながら言うとボス格の個体はしっぽに特徴をもたせるらしい。カムリンはしっぽを日本犬のようにくるりと巻いている。以前3匹兄弟のボス格のワイショーはしっぽをまっすぐ立てていたが。


話が脱線しがちだが、玉袋からの大出血に戻そう。もう1年以上前になるが彼の左の玉袋に小さくないイボが。そのうちそれが二股に。更にそれが再び合体して大きな一つに。そのうちそのイボはイボだったとは思えないほど黒く、硬く乾燥。更にそのイボは玉袋から切り離されたかに見えた。おそらく玉袋の毛だけでつながっているかに思えた。だからホイールに載っているときもそれを引きずってカラカラとうるさい。また、ちょっと高いところから飛び降りてもガラスの床にあたって「カチッ」と音がする。


しばらくは彼自身不便にも苦にする様子がなかったので放置していた。でも、そのうち飼い主の方が気になってきて、掌にカムリンが載ってきたときにそのイボの「ミイラ」をはさみで「チョキン」と切り落としてやった。すると、カムリンはビクッとしてケージに飛び降りていった。ケージに飛び降りてケージ内を走り回り、その後には鮮血。しきりに傷口をなめるが出血が止まらない。そのうちケージ内が鮮血で真っ赤に。こちらは青ざめてしまった。良かれと思ってしてやったのに殺してしまうかもと。


しばらくすると出血は止まった。しかし、随分衰弱しているように見えた。見えただけではなくグッタリしていた。表情も冴えない。目がトロンとしていた。とりあえず出血は止まった。大好物の麻の実をやりながらかなり長い時間経過観察。再び動き回るとまた出血が始まりそれこそ死んでしまう。いや殺してしまうことに。


実は玉袋からの出血で昔死なせてしまったことがある。一旦出血が止まったので安心して外出して帰宅したところ再び動き回ったらしく出血多量で死んでしまっていた。出血の激しい外傷を負った個体は止血後動き回らないようにしなければいけないという教訓は今回は生かされた。


玉袋からの出血はイボに原因がある場合が多いかも。昔死なせてしまった個体はイボそのものから出血したらしい。だから男の子にはイボができないように対策が必要。なんてったって玉袋は巨大。歩くとき男の子はしっぽは引きずることなく浮かせているが、玉袋はその大きさゆえに床に当たることが稀ではないはず。で、床は平滑にして置かなければいけないのではと考えた。しかもその平滑さは常に維持しなければいけない。だから、nanoはケージを開けたら必ず床をスクレーパーで削って頻尿やペレットくず、そして抜け毛を取り払うことにしている。これらを放置していると床にこびりついて激しく大きな塊になり玉袋を傷つけてしまう。


昔不幸にも死なせてしまった個体から得た教訓はもうひとつ。それは、
「ジャービルのオスのケージはガラス水槽が一番」
ということ。間違ってもポリエチレン製の衣装ケースや、ベニヤ板製のものは使うべきではない。それらだとかじられてすぐに壊れるのでかえって高いものについてしまうし、玉袋に良くない。女の子の場合はこのことを考慮しなくても少しは許されるかも。


最近、もしかしたらもう長くないかもという事態が。ケージを開けると、彼カムリンは立ち上がりヨロヨロと歩き始めたがやたらと横にコケるし、あゆみも鈍かった。彼にとっては2度めの脳障害らしかった。表情も冴えない。一度目の脳障害の時に生じた後遺症の左半身の踏ん張りが利かないのが更にひどくなった。右目だけこちらを向けてくる。その後その障害はあまり目立たなくなった。そして何より嬉しかったのは、前の脳障害で際立った気の荒さがなくなり柔和になった。弟分のノブリンに突然襲いかかったり追っかけ回すことはなくなった。また、シェルターから首だけ出しているノブリンに左耳で頭突きを噛ますこともなくなった。彼はその頭付きがもとで左耳が傷つき化膿までした。その治療費に5000円もした。口内の腫瘍にも5000円した。2500円で買ってきたのにすでに4匹分の治療費がかかってしまった。


でも、カムリンは不死身だ。水を大量に飲み小便の量が異常に多いので長生きできないかもと思われたがもうじき生後2歳と9ヶ月。怪我や病気も多いけど結構長生きできている。寝起きが悪くひどい寝ぼけネズミ。その寝ぼけ顔も可愛い。


おまけ:ジャービル飼育者への道 その2
ジャービルは大きな水槽で飼おう。ジャービルはハムスターより活発なので大きいものを。齧り癖が強いので水槽は必ずガラス製のものを。


おまけ:この記事をどこで書こうか迷ったが府中で書いた。迷っていたのでつい長くなった。お暇なときに休み休みでも読んでください。引越し先の大分県津久見市で書くのは次号からか。

歌うネズミ

何かとチュウチュうというネズミ

うるさいネズミだと思ってたけど

立って独り言だってチュウチュウ

黒いノブリンは歌うネズミなのだ


オセロBSの弟分の白髪交じりの黒いノブリンの話。以前から掴み上げるときに大きな声で「チュウ」と鳴いていたが、掌の上で頬や脇腹をなでてやるとさらに「チュウ、チュウ」。また、時々正気になる兄貴分のカムリンに突然襲われて追っかけられたときにも悲鳴にも似た「チュウ」と鳴くが、それらは全て他との接触時に起きる鳴き。


でも、今日はじめて一人で鳴く声を聞いてしまった。水槽の中から「チュウ」という声が聞こえてきた。彼は水槽の隅っこでひとり鳴いた。一瞬空耳かと思ったが次の瞬間水槽の中央に出てきて立ち上がり、「チュウ、チュウ」と二声鳴いたのだ。もちろんそばには怖い兄貴分のカムリンはいなかった。カムリンはシェルターの中で必死こいてホリホリ動作中。


そうか彼ノブリンは「歌うネズミ」だったのだ。一般にねじぃ、ジャービルは格上のものが近くにいると声を上げないという仁義があるようだ。近くというのは同じケージ内だけではなく隣のケージも含む。大きな声で鳴いていた個体がそれより格上になるべき個体が現れるととたんに声が小さくなったり鳴かなくなることを過日発見した。また、鳴き声と言ってもとても小さく、1メートル以上離れると殆ど聞こえないほど小さい。50センチ位が一番良く聞こえる。それほど鳴き声は小さい。


ノブリンが歌うネズミであることが一番良く現れるのは、カムリンが狂って凶暴になってノブリンを襲った直後、カムリンに駆け寄り鼻先で長々と様々な声でささやくように泣き続けるとき。するとカムリンは穏やかな表情になり鼻先をうなだれてお詫びするかのようにする、そんなとき。実に勇気ある行動で兄弟思いのノブリン。また、ノブリンが追い詰められてシェルターに逃げ込んだときも顔を入り口に向き直り歌う。


ねじぃ、ジャービルは高周波で人の耳では聞き取れない高域の音声でコミュニケーションをとると言われる。だから、家ネズミなどのようにうるさく泣き交わしたり喧嘩して鳴くことはあまりない。あってもその声はとても小さい。だから、ねじぃはとても静か。おまけに人と同じ時間帯に活動するのでハムスターのように昼間は眠ってばかりで毛玉のようにしているくせに、夜中に起き出してガラガラ騒ぐことはない。実に人にとってもフレンドリー。おまけにものすごく可愛い。


ジャービルっていいでしょ!


次号予告:死にそうになったカムリンの生還 乞う、ご期待。